幼馴染の結婚

「結婚しました」41歳の花嫁からの年賀状

中学校の入学式。
斜め前の席にサラサラしたショートヘアの女の子が座っていました。
「同じ小学校から来た子だ」とわかりましたが、同じクラスになったことは初めて。
しかし、同郷のよしみとやらで私たちは翌日から言葉を交わすようになり、一緒にお弁当を囲むようになり、
気が付けばいつも行動をともにするようになり……。
彼女は「みったん」。
みったんと私は一緒にユーミンの曲を聴き、好きな男の子の話や担任の先生の悪口で盛り上がり、
いつも顔を合わせているにもかかわらず、授業中に手紙を回し合ったりしてしました。
同じクラスになったのはその一年間だけで、高校も別のところに進学しましたが、
年賀状での付き合いはおたがいに大人になってからもずっと続いていたのです。

 

「昨年、会社を辞めて転職しました。今はケーキ屋さんで働いています」
「お姉ちゃんに子どもが生まれました。私もすっかりおばちゃんです」
「ぶち猫を飼い始めました。名前は『みったんたん』。おかしいでしょ」

 

みったんの年賀状の文字は、中学時代に交わした手紙そのまんま。ちっとも変っていません。
年賀状は私が結婚し、母親になっても、途切れることなく続きました。
みったんのお父さんが亡くなった年以外は……。
おたがい律儀に、昨年あったことを一枚のハガキで報告し合いました。

 

「もう30代も終わりです。そろそろ『おひとりさま』の老後を考える毎日……」
数年前の年賀状にはそんな文面が綴られていました。お姉さんが結婚して家を出ていき、
お父さんが亡くなり、実家でお母さんと二人で暮らしているうちに、なんとなく婚期を逃してしまったみったん。
中学時代は「二十歳くらいでお嫁に行きそうだね」なんて言われていたのに……。

 

ところが、今年のみったんからの年賀状はいつもの年とはまったく違ったものでした。
「結婚しました」
白いウェディングドレス姿のみったんと、みったんのだんな様が並んだ写真がハガキ一面に印刷されていたのです。
「遅まきながらお嫁に行くことができました。夫とはケーキ屋のお客さんの紹介で知り合いました。
人生わからないものだね」昔と変わらない八重歯を見せて笑っているみったんと、少し頭髪が寂しくなっているものの、
人柄の良さが写真からもじゅうぶんに伝わってくるだんな様。
幸せそうな二人の写真を見ながら、私は涙がとまりませんでした。

 

中学時代からみったんとやり取りした年賀状を数えてみました。彼女にもらった年賀状だけは、なぜか捨てずに取ってあったのです。
……ちょうど30枚目でした。

 

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